泡盛

泡盛
泡盛

「泡盛」とは

「泡盛」とは

泡盛は日本最古の蒸留酒として約600年の歴史を誇り、九州の焼酎の源流も沖縄の泡盛にあるとされています。泡盛は原料のタイ米すべてを沖縄県原産の黒麹菌で米麹にし、水と泡盛酵母を加えて発酵させます。これを全麹仕込みといい、焼酎のような2次仕込みはありません。黒麹菌のみの酒造りを行っている地域は、世界的に見ても非常に珍しく、沖縄だけだといわれています。黒麹菌は他の麹菌に比べて雑菌による腐敗を抑える特徴があり、温暖で多湿な亜熱帯の気候風土に適しているのだとか。麹菌ひとつにも先人の知恵を感じますね。
蒸留方法も焼酎とは違い、単式蒸留機で常圧蒸留するのがメイン。単式蒸留機はもろみに含まれる成分をほど良く蒸気に含ませて、原料の風味や個性をより多く引き出すことができるという特徴があります。さらに古酒として飲む楽しみを持つ泡盛は、中に含まれている成分を可能な限り残すため、簡易ろ過という軽めのろ過方法を採用しています。年月の経過でコクやまろやかさを増す古酒に育てる楽しみ― ―それも泡盛の大きな魅力です。

「泡盛」とは

泡盛という名の由来

泡盛という名の由来

沖縄の方言で昔から「サキ」と呼ばれる泡盛。
親しみを込めた通称「シマー」とも呼ばれています。約600年の歴史がある泡盛ですが、一体いつ頃から「泡盛」という名前が付けられたのでしょうか。「泡盛」という名称が文献に登場するのは、1671年のこと。その年、琉球王国の尚貞王から四代目将軍徳川家網へ送られた献上品の目録に「泡盛」の記録が残っており、これが泡盛という名前の初お目見えといわれています。名前の由来については、昔はタイ米ではなく粟を材料にしていたことから、粟盛→泡盛になったという説、古代インド語のサンスクリット語で酒のことをアワムリということから、それが伝来して泡盛となった説、薩摩藩が徳川幕府の献上品として泡盛を贈る際、九州の焼酎と区別するために名前を付けたという説、アルコール分の強さを計るために泡を立てたことから、泡を立てる一泡を盛る泡盛という説など諸説あります。また泡盛は、江戸時代には薬としてさまざまな効能があるとして、とても重宝されていたことを語る文献も発見されています。

琉球あわもりの歴史

琉球あわもりの歴史

600年の歴史が育んだ琉球の宝は今、世界の銘酒に

薩摩の島津家に残る記録によれば、泡盛は15世紀末にはすでに琉球で造られていたと推定され、泡盛の歴史が約600年という根拠になっています。
歴史研究家の東恩納寛淳氏が1933年にタイを訪れた際、現地のラオ・ロンという地酒が泡盛と同じ味だったことから、かつては泡盛のルーツはタイ説が一般的でした。しかし、1990年にアジア各国で行った調査で、中国に米を材料とした酒があり、泡を盛って酒の出来を判断する習慣、蒸留方法などから泡盛との類似性が見られたことで、中国・福建ルート説が浮上。中国と琉球との親しい交易の歴史からもその説は容易に推測できるとし、現在では、東南アジアと福建の2つの道を通って琉球に蒸留酒製造の技術が伝わってきたと考えられています。

沖縄の宝「古酒(クース)」

沖縄の宝「古酒(クース)」

時が育てるまろやかで芳醇な古酒の魅力。

泡盛の大きな魅力は、年月をかけて熟成させると味わい深い古酒(クース)に育つことです。甕やビンで「寝かせる(熟成させる)」ほどに香りも甘くなり、舌触りもまろやかになります。その風味の芳醇さは、琉球国を訪れたペリーー行が、「まるでフランスのリキュール(ブランデー)のようだ」と表現したように、現代でも世界的に評価されています。古酒の新規約では、3年以上熟成させた泡盛が全量100%の場合、「古酒」の表記が許されます。5年以上も同様で、異なる年数の古酒をブレンドする場合は若い方の年数を表示します。古酒は熟成が進む間、バニラのような甘い香りに代表される実にさまざまな香りを醸し、独特の豊かな風味を増していきます。それを楽しむのも古酒の大きな魅力といえるでしょう。

泡盛はなぜ古酒になるのか?

泡盛はなぜ古酒になるのか?

樽に貯蔵され、樽から香りの成分をもらって熟成していく洋酒と違い、泡盛はそれ自体に含まれる成分そのものが長期熟成されることで、物理的・化学的な変化を経て、香味成分などに変化し、まろやかで甘い香りを醸しだします。さらに、瓶詰めをした後でも古酒化が進むのが泡盛の大きな特徴です。泡盛にはさまざまなアルコール類や脂肪酸(有機酸)、脂肪酸エステル、フェノール化合物などが含まれているため、その香りもバニラやキャラメル、チョコレートのような甘い香りから、リンゴや洋梨、オレンジなど果物のようなフルーティーな香り、バラやキノコ類ような香りと実にさまざま。泡盛には幾つものアルコール類、有機酸類が含まれているため、その組み合わせの数だけ、香り豊かで味わい深い「古酒」になる可能性を秘めています。

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